執筆: Alex Ren
更新日: 12 分で読めます
在宅勤務でスクリーンタイムが増える理由:画面から離れる時間はどこへ消えたのか
要約 オフィス勤務から在宅勤務に切り替えた人に「家のほうが画面を見ている時間は長いですか」と聞くと、質問を言い終わる前に「はい」と返ってきます。データも同じことを示しています。しかもその差は、ほとんどの人が思っているより大きく、スクリーンタイムを減らすために本当に必要なことまで変えてしまいます。

不思議なのは、劇的な変化は何も起きていないことです。仕事も、作業内容も、使っているノートパソコンも同じです。それでもオフィスの一日には、頼まなくても画面から引き離してくれる瞬間がいくつも埋め込まれていました。在宅勤務は、そのすべてを静かに消してしまったのです。
在宅勤務で一日は長くなり、増えた時間はまるごとスクリーンタイムになりました#
2020年にオフィスが閉まったとき、NordVPN Teamsが測定したのは、従業員が業務サーバーに接続してから切断するまでの時刻でした。在宅勤務の一日は、アメリカで最大3時間長くなり、フランス、イギリス、スペインでは約2時間長くなりました。このデータを報じたブルームバーグの見出しは率直でした。パンデミック下の働き方はワークライフバランスを消し飛ばした、というものです。同じ勤務時間の中に3時間分の仕事が詰め込まれたのではありません。接続したまま画面の前にいる時間が、3時間増えたのです。
マイクロソフトのWork Trend Indexは、同じ話をツールの内側から語ります。Teamsの利用者では、2020年2月から2022年にかけて週あたりの会議時間が252%増え、通常の勤務時間外の仕事は28%増えました。かつて会議といえば、部屋まで歩いて人の顔を見ることでした。いまは、画面を見ることを意味します。しかも多くの場合、その隣にもう一枚の画面が開いています。
そしてこの傾向はパンデミックより前からありました。2017年の時点で、ユーロファウンドとILOの共同報告書は15か国を対象に、リモートワークやモバイルワークで働く人はオフィス勤務の同僚より労働時間が長く、仕事の密度も高いと感じる傾向があると指摘していました。在宅勤務は働く場所を移すだけではありません。一日そのものを引き伸ばします。
オフィスと在宅勤務:画面から離れていた時間はどこへ消えたのか#
オフィスの一日は、誰も休みとは数えない中断だらけでした。通勤、会議室までの移動、席にやってくる同僚、キーボードから離れた昼食。どれも回復とは感じられませんでしたが、実際にはすべて回復でした。ふつうのオフィスの一日と、その在宅版を並べてみると、その差は一度見たら忘れられません。
| 場面 | オフィス | 在宅勤務 |
|---|---|---|
| 通勤 | 画面から離れる25〜60分:歩く、運転する、電車に乗る | 0分:起きた場所でノートパソコンを開きます |
| 会議 | 部屋まで歩き、顔を見て、ホワイトボードを使う | 立て続けのビデオ通話、カメラはオン |
| ちょっとした質問 | 誰かが席まで来てくれる | SlackやTeamsで、文字にして画面上で |
| 昼食 | 社員食堂や近くの店で同僚と | デスクで、動画を流しながら |
| 一日の終わり | オフィスから人が消える、明確な区切り | 「あと一つだけ」、時間外の仕事は28%増 |
置き換わった瞬間は、どれも取るに足らないように見えます。ここで5分、あそこで20分。合計すると、2〜3時間の差はほぼそれだけで説明がつきます。オフィスは、目と体に一日数十回の小さな回復を、無料で与えてくれていました。自宅では、そのひとつひとつを意識してつくらないかぎり、起こりません。
増えたスクリーンタイムの代償を、体はきちんと覚えています#
まず目です。画面を見つめているあいだ、まばたきの回数はおよそ半分に減ります。VDT症候群(コンピュータービジョン症候群)、つまり目の乾き、かすみ、頭痛は、画面を長く使う人の過半数に起こります。一日2〜3時間の上乗せは、「たまに夕方に目が疲れる」を「毎晩目が焼けるように痛い」に変えるのに十分な量です。
次に椅子です。100万人以上を対象としたパターソンらのメタ分析によると、総死亡リスクは一日の座位時間が6〜8時間を超えたあたりから上がり始めます。オフィス勤務でもその線のすぐ手前にいますが、通勤も廊下の移動も昼食の外出も失った在宅勤務では、軽々と越えていきます。ただし、救いもあります。British Journal of Sports Medicine誌のEkelundらの研究によれば、一日30〜40分の身体活動がその害の大半を打ち消します。必要な時間はごくわずかです。ただし、その時間が実際に確保されていることが前提です。
これは、リモートワークに反対する話ではありません。場所を選ばずに会社をつくれるのは、リモートワークのおかげです。そもそもPausrが存在する理由もそこにあります。ここで言いたいのは、自宅の仕事環境をありのままに見よう、ということです。つまり、自然な中断がゼロの環境であり、回復は設計しないかぎり生まれない、ということです。
本当に削れるスクリーンタイムを見つける:15分でできる棚卸し#
習慣を変える前に、まず本当の数字をつかみましょう。Macなら「システム設定」の「スクリーンタイム」に記録が残っていますし、スマートフォンにはスマートフォンの記録があります。正直に測った1週間分のデータは、どんな当て推量にも勝ります。実際に確かめたリモートワーカーの多くは、スマートフォンのぶんを合わせると1日の合計が10時間を超えていることに気づきます。手の打ちようがない数字に聞こえますが、そんなことはありません。その合計の中には、性質のまったく違う3種類のスクリーンタイムが、ひとつの数字に押し込められているからです。
そこで、一日を3つの箱に仕分けてみます。1つ目は、仕事そのものです。通話、コード、書類、給料の対象になっている時間。ここは削れませんし、削れるふりをした瞬間に、生産性のアドバイスは読み手を置き去りにします。2つ目は、画面である必要がないのに、たまたま画面の上で起きている「つなぎ」の時間です。動画を流しながらの昼食、スマートフォンを眺めるコーヒー休憩、聴けば済むのに映像で観ているポッドキャスト。3つ目は、夜へのあふれ出しです。夕食後の受信トレイ確認、夜10時のSlackのちら見、オフィスがあった頃には存在しなかった日曜の段取り。増えた2〜3時間が実際に潜んでいるのは2つ目と3つ目の箱で、しかも、そこを空にするのに誰かと交渉する必要はありません。
| 漏れている時間 | オフィスにあった元の姿 | 置き換え方 |
|---|---|---|
| 動画を流しながらの昼食 | デスクを離れて取る昼食 | どの画面からも離れて食べましょう。動画は、あなたが見ていなくても困りません |
| 休憩中に手にしたスマートフォン | コーヒーマシンまでの往復 | 立ち上がるときはスマートフォンをデスクに置いていきます。姿勢だけ変わって画面との距離が変わらない休憩では、何も休まりません |
| 作業中に流しっぱなしの動画 | オフィスのざわめき | 音声だけにしましょう。音楽やポッドキャストは目を休ませてくれますが、2枚目の画面は休ませてくれません |
| 夜の受信トレイ確認 | 通勤という強制的な区切り | 決めた終業時刻の向こう側へ送り、確認は翌朝に回します |
| 会議の合間のスクロール | 廊下での立ち話 | 窓辺で60秒。その隙間こそ、目が切実に必要としている回復です |
足し合わせてみると、この計算は励みになります。画面から離れた昼食で30〜45分、スマートフォンを置いたままの小休憩でさらに20分。夜の確認を翌朝に回せば、一日の最後のひと区切りがまるごと空きます。労働時間には1分も手を付けずに、毎日1時間以上のスクリーンタイムが消える計算です。多くのアドバイスが逆さまに捉えているのは、まさにここです。スクリーンタイムは、働く量を減らして減らすものではありません。そもそも仕事ではなかった瞬間を画面に吸い取らせない。そうやって減らすものです。
在宅勤務でスクリーンタイムを減らす:デジタルデトックスは意志ではなく仕組みで#
「スクリーンタイムをどう減らすか」への答えとして、いつも魅力的に見えるのは意志の力です。「離れるのを忘れないようにしよう」。在宅勤務を5年続けて分かったのは、その結末です。思い出すのは夕方6時、目がもう痛くなってからでした。効くのは、オフィスが与えてくれていた中断を、心がけではなく決まりごととして組み直すことです。
- 20-20-20ルールを守りましょう:20分ごとに20秒、6メートル先を見ます。デジタル環境の眼精疲労に対する眼科医の標準的なアドバイスですが、思い出させてくれる何かがなければ機能しません。20-20-20ルールのガイド記事では、なぜほとんどの人が自力では続かないのかを説明しています。
- 45〜60分ごとに立ち上がりましょう。90秒でもかまいません。長さより回数です。小さな回復を10回のほうが、気合いを入れた散歩1回より効きます。目・体・集中力それぞれの研究に基づく休憩の頻度は、別のガイドにまとめています。
- 昼食はきちんと取りましょう。どの画面からも離れて取ります。オフィスの一日が持っていた、画面から離れる最大のまとまりです。まるごと取り戻しましょう。
- 通勤を終業の儀式に置き換えましょう:家の周りを一周する、終わりの時刻を決めて必ずパソコンを閉じる。在宅勤務の人が実際に続けられる、数少ないワークライフバランスの習慣です。一日にもう一度、終わりの区切りが必要だからです。区切りがなければ、一日はそのまま夜へ溶けていきます。
厄介なのは、それを思い出すべき当人が、4本目のビデオ通話で消耗している本人だ、という点です。Pausrは、まさにその問題のためにつくりました。次の小休止を30秒前に予告し、そのうえで画面から引き離します(目のために20秒、立ち上がるために90秒、時が来たら本当に15分)。Macの上で直接動き、100%ローカルで、アカウントは不要です。働く量を減らすためではありません。在宅勤務が上乗せした2〜3時間のスクリーンタイムから、いくらかを取り戻すためです。先にツールを比べたい場合は、無料も有料も正直に並べた休憩リマインダーアプリの比較記事をどうぞ。

よくある質問
在宅勤務になると、本当にスクリーンタイムは増えるのですか?
なぜ自宅のほうが、オフィスよりスクリーンタイムが長くなるのですか?
仕事そのものが画面の上にある場合、スクリーンタイムはどう減らせばいいですか?
オフィスにあった自然な中断を、自宅では何で置き換えればいいですか?
仕事で画面を使う人でも、デジタルデトックスはできますか?
スクリーンタイムを減らすと、仕事の成果も減りませんか?
出典と参考文献
- Bloomberg: Three Hours Longer, the Pandemic Workday Has Obliterated Work-Life Balance (NordVPN Teams data, 2020)
- Microsoft Work Trend Index: Hybrid Work Is Just Work (2022)
- Eurofound & ILO, Working anytime, anywhere: The effects on the world of work (2017)
- Patterson et al., Sedentary behaviour and risk of all-cause, cardiovascular and cancer mortality, European Journal of Epidemiology (2018)
- Ekelund et al., Joint associations of accelerometer-measured physical activity and sedentary time with all-cause mortality: a harmonised meta-analysis, British Journal of Sports Medicine (2020)
- American Academy of Ophthalmology: Computers, Digital Devices and Eye Strain
- American Optometric Association: Computer vision syndrome
- Apple Support: Use Screen Time on your Mac, iPhone and iPad
- Harvard Health: The dangers of sitting





